女子大生と約束した、次の次の土曜日がやってきた、夕方の早い時間に待ち合わせをし、少し奈良公園を散歩した、お互い奈良の人間なので奈良公園はお馴染みの場所だ、関東の人みたいに修学旅行で来ることもなく遠足ですら来ることはない。
でも奈良公園に来れば落ち着くしなんか楽しいのだ。鹿も可愛いし。この時期は奈良公園は紅葉のスポットとして、多くの観光客が訪れる。
最近は外国の方が増えて特に中国の方が多い。
周りから中国語が聞こえてくる、中国語はまったくわからないがなんとなく中国語だろうと思う。
奈良に観光客はたくさん来るけれど奈良に泊まらず、泊まるのは大阪か京都だということで一度問題になっていた事がある、今でも市役所の関係者などは問題視しているだろう。
なぜ奈良には泊まらないのか？
まず、肝心のホテルや旅館が少ない、夜が面白くない、というか夜の娯楽施設がない、あとは住人からも言わせてもらうと大半のお店が夜早く閉まる。夜遊びのしたい年頃だった大学時代はお店が早く閉まるので面白くないというか困るので、大阪や京都で遊んだものだ。
だから、それを知っていて、観光客へ奈良には泊まらないのだ。
でも街をあげて観光客を奈良に泊めようとホテルや旅館がどんどん増えている。それに先日は餅飯殿（近鉄奈良駅近くの商店街）商店街が夜市と称して夜遅くまでお店を開けていた。行かなかったけれど。
奈良公園をうろうろしていると興福寺や東大寺などのお寺もある、別に珍しい訳ではないので、拝観したりはしないけれど、ある。
結構よい時間になったので、車に戻ってレストランに向かう事にした。
散歩の間、彼女とは色んな話をした。
私は彼女に思いきって聞いてみた。そうしないとまた、「私、そんなつもりじゃなかったの」って言われても困るからだ。
なんて聞いたかと言うと、「こんなおじさんと本気で付き合う気持ちはあるの？」って。本当に思いきった質問だった。いわゆる直球勝負ってやつだ。
彼女が私にカミングアウトしたことを要約すると、大学の同級生と付き合っていたらしい、彼女はその彼氏のことが大好きだったそうだ。しかし、その彼氏はお金にとてもルーズな人だった。
最初は「５０００円貸してくれない」という理由もあまり言わず普通に少し何かの理由でお金が必要なんだなという感じで「いいよ」って貸したのが始まりだった。
そのうち色んな理由をつけてお金を貸してと言ってきた、しかし返してくれたのは最初の５０００円だけだった。
最初のうちはもっともらしい理由だったが、だんだんと理由もなくなっていくのだろう、中には？って思う理由もあったそうだ。まあ理由は嘘でどうせ賭け事やいわゆる遊興費に使っているだけであっただろうから。
ちなみに彼氏のお母さんは病気で治療費でたいへんらしい、今時こんなドラマみたいな嘘をつくやつがいるんだって思う。
彼女が貸したお金は５０万円を超えた。
アルバイトで一生懸命稼いだお金だ。
彼女はそんなことをされても大好きな彼氏が喜ぶならと何をされてもじっと耐えていたらしい。
しかし度重なる金の無心に精神的に追い込まれ食事ができなくなり生理不順にもなり、内科から紹介された心療内科で適用障害と診断されたそうだ。
大好きな人、将来結婚とかも考えていたらそうなってしまうだろう。
ある時彼女は勇気を出して彼氏にもうお金は貸せないと告げたそうだ。
彼氏は「もうお前とは最後だ」と捨て台詞を吐いて去って行ったらしい。いちいち卑劣な男だ。
それ以来、しばらく彼女は男性との恋愛はトラウマになっていて、恐怖症になってしまっていたそうだ。
だからずっと年上のおじさんなら大丈夫かなと思ったそうだ。
なるほど、それにしても重たい話だ。彼女は良くそんな話を私にしてくれたものだ、彼女の誠意みたいなものを感じた。
こんな、俺で良ければ彼女を幸せにしたいと思った。
続きはまた明日。
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